USPTO(米国特許商標庁)はPost-Prosecution Pilot Program(以下、「P3プログラム」と略称されます)という、ファイナル・オフィスアクション(以下、「ファイナルOA」)後の応答に関する新たな試行プログラムを発表し、その運用を2016年7月11日から開始しました。この試行プログラムは2017年1月12日またはP3プログラムへの適法な参加申請の累計が1600件に達した日のいずれか早い日まで実施されますが、各技術部門の受け入れ件数は200件までに制限されています。P3プログラムの概要は以下のとおりです。
出願人は、ファイナルOAが出された審査係属中の出願においてP3プログラムへの参加申請を行うことができます。この場合、出願人は、5ページ以内の意見書とともに、P3プログラムによる意見書の考慮を審査官に要求する所定の書面を提出しなければなりません。また、出願には、P3申請と意見書を検討するために開催される、審査官合議体とのカンファレンス(例えば電話インタビュー)に参加する意思があり且つその都合をつけることができる旨の陳述書も添付する必要があります。なお、USPTOが出願人にカンファレンスの日程調整を打診してから10日以内に日程調整が成立しない場合又は出願人がカンファレンスへの参加を拒んだ場合には、P3プログラムの申請は不適切とみなされ、通常のファイナルOA応答と同等に扱われます(カンファレンスは行われません)。
P3の申請には、クレーム補正案(但し、クレームの範囲を拡張しないものであることが必要です)を添付することができます。もっとも、現行のAFCP 2.0プログラムとは異なり、P3プログラムはクレームの補正は必須ではありません。また、P3の申請とともに提出する意見書の5ページ以内というページ数制限には、クレーム補正案のページ数はカウントされません。
P3の申請及びその関連書類は、ファイナルOAの発送日から2か月以内で、かつ、RCEや審判請求書(Notice of Appeal)の提出に先立ち提出する必要があります。P3の申請がファイナルOAに対する応答として受理された後は、(それが出願を特許できる状態にするとの)審査官の同意が無いかぎり、追加の応答書類の提出は許されません。また、Pre-AppealまたはAFCP 2.0プログラムへの参加申請を既に提出している場合においても、出願人はP3の申請を提出することはできません。
P3プログラムは、Pre-AppealやAFCP 2.0プログラムを超える改善がなされております。すなわち、P3プログラムは、担当審査官のみならず、P3合議体の他のメンバーを含めたカンファレンス(例えば電話インタビュー)を要件としているためです。P3合議体は、例えば、担当審査官、監督審査官(SPE)及び首席審査官の3名で構成されうるとのことです。
P3プログラムは、同時にクレーム補正をしなくて済む点においても、AFCP 2.0プログラムを超える改善がなされているといえます。前述のとおりP3プログラムではクレームの範囲を広げないクレーム補正を提出することができますが、このクレーム補正はP3申請及び電話インタビューで提示した反論が受け入れられなかった場合に合議体が検討するための代替案(すなわちクレーム補正案)として提出することもできるためです。
このように、P3プログラムは、Pre-AppealやAFCP 2.0プログラム(これらも引き続き実施されています)を超える上述の利点を有することから、ファイナルOA受領後に出願人が採りうる有効なオプションの一つとして検討してみる価値があるものと思われます。
詳細につきましては以下のサイトをご覧ください。
http://www.uspto.gov/patent/initiatives/post-prosecution-pilot
https://www.gpo.gov/fdsys/pkg/FR-2016-07-11/pdf/2016-16423.pdf
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